御節もいーけどカレーもね。出たな!バインチュン!
『お節もいーけどカレーもね』とか、富士フィルムの『そうでない方はそれなりに・・・』と言う名コマーシャルは昭和40年生まれの私としては、何とも懐かしいのです。
元旦の朝、食卓に並ぶとおせち料理は華があり正月気分を盛り上げてくれます。
京料理の店を手伝っていた頃は、年末になると何万円もする3段重の御節を頂いていました。
毎年、年末になると販売用のお節料理を数日間で一気に作るのです。
私は焼き台でちょこちょこっと、鰆を焼いたり、出来上がった料理をお重に詰めるだけだったので、1日徹夜をするだけなのですが、料理の師匠は丸3日徹夜をするのです。
幾らプロの料理人とは言え、この集中力と体力には毎年驚かされていました。
折角頂き、家に持ち帰った御節料理なのですが、真夜中お重に詰めながら、大量につまみ食いをするので、元旦に食べる時には既に、少々飽きてしまっているのでした。
お子様の様ですが、個人的に一番好きなのは栗きんとんです。
コリコリとした栗の食感とネットリしたきんとんが堪りません。
子供の頃、栗きんとんばかり食べていると母親に叱られたものです。
元嫁は『なます』が大好物でしたね。
どうして、あんな酸っぱい物をばくばくと食べられるのか不思議でした。
チョロギと言う、今持って謎の真っ赤な食べ物もありましたね。
ネジネジの形が何とも人工的でしたが、紫蘇科の植物の根っこなのですね。
生まれながら『あの形』な訳ですね。
栗きんとんで甘ったるくなった口の中にチョロギを一つ放り込むとサッパリとします。
元旦、そして2日、3日は良いのですが、4日になり仕事が始まっても不人気で売れ残った御節の残党が食卓に並ぶのですね。
このタイミングで御節も良いけどカレーもね!なんてククレカレーのCMを見ると頭と口の中が黄色くなってしまうのです。
このコピーとコンセプトを考えた人は天才ですね。
ガーさんの実家では、毎回、食卓にバインチュンが並んでいました。
御節と一緒で年に一度の事なので、1日、2日は良いのです。
3日目になると、『どうぞどうぞ』と勧められても、中々箸が進みません。
そもそも、餅米、まめ、豚肉で作ったシンプルな料理ですからね。
ガーさんより、一足早くハノイに戻る時も、ガーさんのご両親から『一つ持っていく様』に言われたのですが、バインチュンって筋トレ出来るくらい重いのですよ。
とても、一人では食べきれないし、ダメにしてしまったら勿体無いので、丁重にお断りしました。
これで、バインチュンとも一年のお別れなのです。
そして、今日の午前中4時前にガーさんが、ハノイに戻って来ました。
生活の拠点が、クワンビンか?ハノイか?によって『ハノイに来た』のか『ハノイに戻ってきた』のか表現が変わります。
私として、出来れば後者を希望致します。
少し仮眠をとり、ガーさんのバッグの中から出てきたのは、ジャーン!
バインチュンなのです。
約1週間のご無沙汰でした。
ヘビーですが、サッと作ってくれた味噌汁と一緒に美味しく頂きました。
上手に葉っぱを取らないと、面倒くさい事になります。
昼は、新年会という訳では無いのですが、久しぶりに和食を食べに出かけることにしましょう。
数ヶ月前迄は、毎週末ラーメンや刺身を食べに行っていましたが、『神のアヒル』と出会ってからは、脚が遠退いています。
さて、なにを食べに行きましょうか。
50年間食べていた日本料理ですからね。
大したことではありませんが、ワクワク楽しみなのです。
あらっ?夜はバインチュンの残りが出てくるかもしれませんね。