「危険なふたり」ハノイ編
タイトルに「危険なふたり」と書いておきながら、頭の中では「壁際に寝返りうって〜〜」が流れていました。
これは「勝手にしやがれ」ではありませんか!
同年代の方々からしたら、ここまでの話は知っていて当たり前ですが、最近の若者からしたら???でしょうね。
「危険なふたり」と言っても今日は、樹木希林さんが身悶えしながら叫ぶ「ジュリ〜」ではないのです。
さて、ハノイの市場前にある、乳幼児用のお粥専門店から、物凄い怒声が聞こえてきます。
「#*%&#^*$&@*#&#^$#*#&^%&#*」
ベトナム語なので、私にはさっぱり理解出来ませんが、あまりの迫力に通行人は自転車を止め、両隣の店主は大声が聞こえてくる店の中を覗き込んでいます。
その声の主とは・・・「ガーさん」です。
若くて可愛らしい女性スタッフに向かって物凄い剣幕で怒っているのです。
私はと言えば、「連れ」と思われるのが恥ずかしいので少し離れた所でチラチラと店内を覗いています。
「触らぬ神に祟りなし」です。
よほどヒートアップしたのか?頭から湯気を出しながらアパートに帰ります。
私:「どうしたの?」 ← 一応、聞いてみました。
ガーさん:「勝手に商品を決める」 ← 意味不明ですが、突っ込むと、とばっちりを食うので「そ〜か〜」で終了しました。
後日、何が起きたのか?確認をしたのですが、商売熱心?な若いスタッフが利幅の大きいトッピングばかりを押売りするらしいのです。
因みにこれは先ほど一緒に行って買いました。
一番下がお粥でその上にあるのが野菜のペーストだそうです。
これで35,000VND(約175円)です。
アパートの3階に住む赤ちゃんの1日の食事です。
これだったら高くはありませんね。
でも、前回は70,000VND(約350円)
それ以前、時々100,000VND(約500円)の時もあったそうです。
私が時々、贅沢をして食べるPHO BOが35,000VNDですからね。
ガーさんが怒るのも納得できるのです。
と言っても少し怒りすぎですね。
ベトナムの女性はとても強いですが、ガーさんの強さは別格です。
シャツをめくったら金色のチャンピオンベルトをしているかもしれません。
私が街中でイジメられたら、そのへんの棒切れを掴んで飛んできて助けてくれる事でしょう。
この人は曲った事が大嫌いなのですね。
さあ、ここまでが危険なふたりの第1号です。
2号は言うまでもなくワタクシです。
歳をとったらもう少し丸くなるかな〜と思っていたのですが尖るばかりです。
自分勝手にプリプリ怒ることもあるのですが、私もガーさん同様、曲がったことが嫌いな性格になってきましたよ。
先日のブログでも書きましたが、交通ルールを守らない輩がいると許せないのです。
・・・と言ってもこのベトナムでまともにルールを守る人は一握りしかいません。
私のバイクとぶつかりそうになったりするとスイッチが入ってしまいます。
先日、直進する私の前を無理やり横切ろうとするバイクがありました。
ブレーキをかけたので、衝突はしませんでしたが、勿論すぐにUターンです。
「このバカタレ」で済ませば良いのですが、その境地に達するには10年ぐらい掛かりそうです。
Uターンしたのは良いのですが、私のバイクは50ccのカブですから、なかなか追いつかないのです。
運良く(悪く?)先がつっかえていて、追いつきます。
横につければ蹴飛ばすのですが、混んでいるので、後ろから2度ぶつけます。
(軽くね・・・)
ベトナムに来て何回もこういったシーンがありましたが、幸い、喧嘩になったことがありません。
55歳と言えばこの国では「結構なお歳」ですからね。。。
喧嘩をしたらやられてしまうかもしれません。
ガーさんにも話しましたが、「駄目!」と叱られます。
その通りです!何があっても喧嘩はいけません。
ベトナム生活が長くなり、なんだか最近「血」が濃くなった様な気がします。
学校の授業中、問題に答えられなかったりしても絶対に怒ったりする事はありません。
建築関係で日本に行く実習生の中には30歳を過ぎているおっさんもいますが、なかなか、日本語が上達しません。
私自身出来が悪かったので、そういった落ちこぼれは大好きなのです。
でも、みんなが辞書を引いている時に一人だけボーッとしていたりすると、猛烈に怒ります。
辞書を思いっきり机に叩きつけます。
「ボーッとしていないで辞書を引きなさい!」
突然なので、教室内の実習生はビックリするし、「バーン」とやった机の上のノートや筆箱も跳ね上がります。
空手の稽古の時も同じです。
怪我をするので、ふざけて突きや蹴りをしないように話してあります。
実習生の多くは若者だし、中にはお調子者もいます。
道場の後ろの方で私の言うことを聞かずにふざけている実習生がいれば、胸ぐらを掴み「出ていけ」と言います。
やりすぎと言う意見もあるかもしれませんが、日本に行ったら仕事の厳しさはこんなもんじゃありません。
建築現場で親方の言うことを聞かずにふざけていたら「差し金」で頭を叩かれますね。
第2号もこんな感じで熱いのですよ。
この熱苦しい危険なふたり“1号”と“2号”が一緒に暮らしていますからね。
ぶつかったら大変な事になります。
幸い「悪」ではないので、プレデター vs エイリアンではありません。
ウルトラマン vs ウルトラセブンと言った所でしょうか。
2部屋しか無いアパートの中でアイスラッガーは飛ぶし、スペシウム光線が光ります。
ウルトラマンの様に3分とは言いませんが、ものの15分もあれば、何事もなかったかのように仲直りします。
ガーさんと暮らし始めて1年以上経ちますが、恐らくは似た者同士で良いパートナーなのでしょう。
さて、もうすぐベトナムは旧正月を迎えますからね。
カーっとなっても、怒らずに優しい気持ちで過ごさなくてはいけません。